山田雅
ピンチは歓迎。信念を通すための試練
【富山大学経済学部経営学科4年】
自ら起業家の鞄持ちに挑戦し、たくさんの経営者に会って自分の世界を大きく広げてきた山田さん。その経験を踏まえ、社会人として実現したい世界観を既に描いている。今、自分に期待することは、「メッタメタにされながら試行錯誤し、信念を貫くこと」。そんな「ドМな」山田さんに、ご自身の変遷を振り返ってもらった。
出会った経営者、300人!
「何もしてないのにやりたいことなんて絶対見つからないよ」。これは大学のキャリア論の授業に来ていたスタートアップの社長が言った、私に突き刺さった言葉です。その後約1年(2019年6月~2020年7月)の間、その社長の鞄持ちとして走り回ることになるのですが、今振り返ると「もっとこの方の話を聞きたい」と思い名刺をもらいに走ったことが、一番行動力を発揮できた場面だったと思います。そして、自分を突き動かす言葉に出会えたご縁に感謝しかありません。
その社長とは、後にDeruQuiのメンターにもなる金谷さん(※https://www.deruqui.com/メンター)。外見からして異色(笑)な起業家ですが、授業に来ていた他の社会人の自己紹介が頭に入ってこないくらい、すごく惹かれる存在でした。自己紹介後の座談会でその金谷さんが言われた「せっかく働くなら楽しい方が良くない?」という言葉には衝撃を受けながら、就職について自分なりにずっと考えていた私は「確かにな」と強く納得しました。でも、自分にとって何が楽しいことかなんて分かりませんでした。そんな思いをぶつけて返ってきた言葉が冒頭の言葉です。そこから名刺をもらいに走り、「真似事でもいいから何かやってみたら分かることはないかな」と鞄持ちを始めることになります。
鞄持ちをした約1年間、経営者だけでも300人には会ってお話したと思います。一人で赴いた私に開口一番「あなたと私は敵同士だよ?」と言われ、悔し涙をこらえながら帰ることになった苦いエピソードもありました。それも「意見が違う人とのコミュニケーションの取り方を考えるきっかけ」となる良い出会いであり、他にも様々なことを学び、感じることができました。そんな鞄持ちをする中で何度も感じたのが、「個性を発揮して活躍している人たちは、幸せで嬉しそうな顔をしている」ということです。
50枚書き出して見つけた個性
「個性が発揮されるっていいな」と思い、就活の時期に自分の強みや個性について考えましたが、思い浮かぶ言葉はありきたりなもので、そこに納得感は全くありませんでした。一方で「個性」が発揮されることが大事なのではという思いは強くなりました。というのも、人って適応性があるから、その状況によって発揮されるものなど違うだろうと思うからです。
自分が思いつく強みも、ただ印象に残っている一部分を言っているだけなのでは、とずっと迷いながら、友達と一緒に過去を洗いざらい白い紙50枚位に書き出して、自分の性格のベースとなる資質みたいなところを探していました。最終的に「これかな」と見えてきたものは、人よりも抜きんでた自分の特徴といえるもので、場面によっては強みにもなれば弱みにもなるもの。それは「自分の世界観を熱量を持って伝える」ことです。
その世界観とは「コミュニケーションによってみんながわくわくして熱中できる世界ができたらいいな」。いろんな大人を見てきて、熱中している大人にはすごい憧れたし、かっこいいな、と思いました。でも、熱中できていない人は「仕事は嫌だ」と言っているんです。だから、みんなが熱中できるものに出会えれば、「もっと世界は良くなる」と、そんな風に思いました。そして、私はそれをコミュニケーションというところで携わっていきたいと考えており、これからも具体的に考え続けたいと思っています。
価値観を凝り固めない
1年以上鞄持ちとして、教育系のインターン活動をして、教育サイド事業開発や育成の活動を経験させていただいていました。しかし、同じ組織にずっと属していると、この価値観に凝り固まっていく自分がいるんじゃないかと思う時があり、もう少し新しい視点があったらいいな、と思っていました。その時に「DeruQui」に参加しないかというお話があったんです。個性を生かすとか多角的な視点を持つということをトレーニングしたいという思いとマッチしたので参加を決めました。
ゼミのテーマで印象的なのは、「チーム」をテーマに「大局観」を扱っていた回です。自分の役割と目標、チームの役割と目標を考えることが、大局的な視点を持つきっかけになりました。普段、目の前のことに追われてしまうと、自分が取り組んでいることに対して「なんのためにやっているんだろう」と思うことがあります。ゼミに参加した時も、ちょうど何かプロジェクトを行っている時でした。そんな時に「自分の原点」に立ち返る考え方ができたのがすごく面白かったです。ゼミで考えたことは、すぐに試して吸収していて、自分がその時行っているプロジェクトに活かしてみようと思って取り入れています。
DeruQuiに参加して多様性が大事だということを改めて感じていますが、自分の文化を理解してくれた時には、その人に感謝するべきだと強く思うようになりました。色々な文化がある中で、たまたま自分の文化にすごい共感してくれた、というのはよく考えると凄い運命的だと思います。
今後―、「メッタメタにされたい(ドМですよね笑)」
1年間鞄持ちをやって、楽しかったことは、「リアルで物をつくるからこそ思い通りにいかない」ことだったと思います。これは、本を読んでいるだけでは得られないことです。人も思うように動いてくれなかったり、周りのみんなに「無理だよ」と言われながら、それでも壁を一つずつ超えながら、一個ずつ、―本当に一個ずつだったんですけど、共感する人が増えていくことが面白く、そのための試行錯誤が楽しいと、当時「超」思っていたんです。だからこれからも、壁にぶつかってめっちゃ試行錯誤をしたいと思っています。
鞄持ちをしていて感じるようになったことが、「ピンチは楽しい」ということです。「ビジネスマンは、事業を通して正義を突き通しているんだ」という、ビジネスの面白さを実感させてくれた金谷さんの恩師の言葉があるんです。「売上が上がったり顧客が増えたりするのは、自分の正義が社会に認められたことだ」という考え方で、だからそこにある困難というのは、自分の信念を通すために超えなければいけない試練。私も、困難をクリアして共感を得られた時には、「自分の信念が通ったんだ」と思えてすごい面白かったんです。上手く行かないこともありましたけど、その時は原点に立ち返って他の手段に切り替えたら、失敗していたことも後から一気に解消されるみたいなこともあって。失敗しても、いつかはそれが全て繋がる、だから「扉を一個一個開けておくことが大事だ」と、チャレンジすることの意味も教わりました。
揉まれて揉まれて、いろんな人のいろんな見方を吸収して、でも自分はこういう風にしていきたいから、吸収したことをどう取り入れてどのように落とし込んで行こうかー。「もう嫌だ!」というくらいメッタメタにされながら、ピンチを楽しんでいきたいと思っています!
今後DeruQuiでは、ゼミ生が取り組んでいることをプレゼンしあえる場があったらいいなと思います。ゼミの場は、「教えてもらう」よりも、頑張っていることに新しい考え方やきっかけを与える場なのかな、と感じているんです。多様なゼミ生とメンターの方がいて、特に年代も育ってきた環境も違うメンターのお話を伺えることは、DeruQuiの魅力だと思っています。自分の将来に悩んでいるとき、その将来像に近いところにいらっしゃるメンターの方に個別に直接お話を伺ったりしています。
いろんなゼミ生の視点によって自分の考えが立体的になりますし、そこにメンターの経験に基づくアドバイスが入るとそれがより現実的になる―。自分のやりたいことを、そんな風に広げていければ面白いな、と思います。