澤田大貴

困難に遭っても熱意をもってやりきる

【國學院大学人間開発学部初等教育学科3年】足切りに遠く及ばないTOEIC390点からの留学。中途半端に頑張って得るものがないのはもったいない、だからとりあえずやりきるー。その精神で留学を勝ち取り、その後も最大限の成果を得るため「やりきる」ことを続けてきた。どんな挑戦をやりきり、何を学んできたのかを紐解いていく。(2020.9)

どうせやるならやりきる

恥ずかしいのですが、僕の留学の転機は、TOEICで390点をとってしまったショックからなんです。僕にとって英語は、苦手を克服した科目であり、「英語が苦手」な自分を変えてくれた塾の先生に憧れ、英語教師を目指していたくらい、大事なものでした。それが受験の解放感から遊んでしまい、こんなことに・・・。「またちゃんと勉強しよう」と奮起した時に、ふと思い出したのが、塾の先生の「留学は自分の価値観が広がる。だから行った方がいい」という言葉でした。

「せっかく勉強するなら」と、すぐに大学の国際交流課に留学の方法を尋ねに行きました。しかしそこで、TOEICの点数が及ばず留学の資格がないことを知ります。留学に行くための土俵にも立てないことにさらなるショックを受けましたが、応募締め切りに向け、基準の550点を獲得すべく英語の勉強を開始しました。点数は徐々に伸びていきましたが想定よりも苦戦し、友達との遊びも断って勉強することになりました。不安や迷いの中、先生から聞いていた、留学へのキラキラしたイメージをモチベーションに、「やれるだけやってやろう」と勉強を続け、期限ぎりぎりに何とか、2年生の9月からのニュージーランドへの留学への権利を勝ち取りました。

ニュージーランドの留学は、現地にある語学学校に3か月間通うというプログラムでした。キラキラした留学のイメージを抱いていましたが、周りに日本人が多く、当初のイメージとのギャップには苦しみました。それでも、「せっかくの留学だからできるだけ英語に触れたい」と、毎回の授業でベトナム人の学生の隣の席を死守して友達になったり、現地の小学校へのボランティアに参加してみたりと、色々な工夫をしました。現地の大学への進学希望者を対象にしたクラスにも頼み込んで入れてもらう、ということもしていました。そこで現地の学生と勉強をしようとしている人の姿を目の当たりにし、英語のスキルアップを目指すだけでなく、英語をツールとして「何かしたい」と思うようになったんです。

塾の先生と出会った高校時代

ニュージーランドにて

もっと本気で学びたい~2度目の留学~

英語を「ツールとして」ビジネスパーソンとして働きたい―。そんな思いの変化から、海外で現地の学生と同じ大学に通って勉強できるような留学がしたいと思いました。ビジネスパーソンとして働くなら、無知なまま社会に出るのではなく(無知なまま就職活動をしても内定はもらえるかもしれないけど)、少しでも実践的なスキルを身に着けてから社会に出てみたいー。その想いを実現するため、留学のエージェント会社に連絡をとるなど、より良い学びを得るために様々なプログラムや、留学に最適な時期の調査を行いました。最終的には、一番「ビジネス」が学べそうなところ、アメリカのシアトルでの留学を決意しましたが、自分ではどうしても解決できなかったのは経済面への課題です。両親に相談するために、新幹線の切符を買って日帰りで実家に帰りました。将来への思いと自分にとって留学が必要な理由のプレゼンをしたんです。

大学生活の残り時間を考え、休学の選択をしましたが、実は心配性の僕は、就職のことや友達のことなど、様々な不安も感じていました。しかし結局、留学して現地の学生と学ぶことへのワクワクが勝っていました。

大学2年次・日本にて

リーダーとしての挑戦

シアトル留学中、特に頑張ったのが、課外活動として所属していたBigPic(http://seattle-gakusei.com/)での留学生へのインタビュープロジェクトです。BigPicに入ったのは、留学後2,3か月経って大学の授業にも慣れ、少し心の余裕が出てきた頃。「たった1年の留学期間、せっかくだから学外でも活動してみたい」と考えたことがきっかけでした。

タイミング悪く新型コロナが蔓延し、メンバーのモチベーションが一致しなかったことには苦労しました。コロナによる活動の制限の時期と重なったため、「面倒くさい」というムードがなんとなく漂っていたんです。それでも自分としては、留学の時期の終わりが見えていた時期でもあり、「このままでは帰れない」「なんとしてもやり遂げたい」という思いがありました。そこでパワーポイントでプレゼン資料をつくり「自分はこういう戦略でやっていきたいから、ぜひ協力してほしい」と、メンバーに熱意で訴えました。リーダーとして企画立ち上げから携わったこのプロジェクトは、プレゼンの甲斐もあり、ターゲットとしていた10代~20代の学生のページへのアクセス数を2倍に引き上げるという成功を収めることができました。

シアトルにて

先輩社会人への挑戦の場、DeruQui

DeruQuiのゼミを受けたのも、「まずは体験してみよう」という思いからです。迷ったらとりあえずやってみる、ということは決めていたことでした。活動範囲をさらに広げたい、ということを考えていた頃でもありましたし。

実際に参加してみて、社会人の方がいらっしゃる中で自分の考えをアウトプットする場が自分のためになることを感じました。学生同士で意見を言い合うことはありますが、アウトプットに対して大人からのフィードバックをもらえることが貴重だと思っていて、毎回自分を振り返る機会になっています。

自分の将来像を描くために、実際に活躍されている社会人と触れ合う機会は、大変大切だなと感じています。今後も、かっこいい社会人にたくさん出会いたいと思っています。

シアトルにて。「ネイティブ30秒英会話」(https://peraichi.com/landing_pages/view/native30englishでも活動

かっこいい大人

僕がかっこいいと思う大人は、夢や目標に向かって生き生きしている人です。この思いは、シアトルでプロジェクトをご一緒させていただいた石坂誠さん(MBA取得を経て現在はシアトルのMicrosoft本社に勤務)との出会いが影響していると思います。石坂さんは、体力と熱意があふれている方で、絶対にお忙しいにもかかわらず、学生の僕たちの活動のメンターを勤めて的確なアドバイスをくださるんです。giveの精神が多いな、ということを感じて、世界で活躍される方というのは、自分自身のことを考えるだけではなく、見返りを求めず他人のために動けるようなパッションと体力が必要だということを実感しました。

僕自身が今「やりたい!」と思っていることは、日本の技術や製品を海外に広げることです。それによって、もっと多くの人の豊かな生活に貢献できるのではないか、と今考えているところです。正直、日本にいる時は日本のことをそんなに凄いと感じていなかったのですが、留学中に日本を外から見て、日本の車が多く走っているのを見たり、個包装された日本の商品の丁寧さを感じたりということを通して、日本という国は凄い魅力的なんだな、ということを思ったんです。それならもっと日本という国を海外にアピールしたいなと感じています。自分の方向性として具体化しながら、自分の強みを社会に活かせるように取り組んでいきたいと考えています、

僕が活かせる強みの一つは「行動力」です。常にコンフォートゾーン(ストレスがない状態)を抜けて、常に挑戦することを心がけています。というのも、ちょっとストレスや劣等感を感じる状況や、コミュニティに参加することが「やりきる」という自分の力を発揮するきっかけになり、自分の成長に繋がっていることを今までの経験から感じているからです。今も、社会のこと・ビジョンのことをもっと知るために、次の挑戦へのアプライを計画しています。

編集後記

今後への期待とパッションがよく伝わる力強い喋りが印象的で、窮地に陥ってもプレゼンで人を動かして成功に導いていた、ということも頷けます。やりたいことを見つけたら一直線に達成しに行く勢いが凄まじく、そこから得た経験を糧に、前進のスピードを加速させていく澤田さん。異文化の環境の中でも持ち前の行動力を活かして、様々なプロジェクトに飛び込んで多様性を広げていくだけでなく、「自分なりの工夫」を常に考えながら、新しい考えや企画を取り入れて、その環境に新しい風を吹き込んできた話は、聞いていてとても楽しかったです。「できない」や「思い通りにいかない」という状態を克服しながら、確実に前に進んできた澤田さんが、これからどんな風に可能性を広げていくのか、とても楽しみです。 (岩崎咲耶)