冨田侑希

draw out our talent

~就活で感じた違和感と大切な仲間と学び続けるための起業~

【株式会社dot代表】就活で100社を見て回っても入りたい!と思える会社がなかったことに悩んでいた矢先、自分の人生を変えた教授と出会い、そこから始まったコミュニティからまさかの起業に!?就職活動での違和感、運命的な人との出会い、アイディアを形にする楽しさ。就職活動をしながらも起業を選んだ、冨田さんが大切にしている価値観とは。 (2020.8)

"就活"に感じていた違和感と人生を変えた授業

大学3年時に就職活動をしていたときに、夏時点で100社近くを見て回りました。ただ、100社見ても「入りたい!」と思える会社がなく、私はそのことに悩んでいました。

ちょうど同じ頃に大学で、起業家の斎藤徹氏の授業を受けていました。この授業は"身の回りの困りごとを解決するアイディアを形にしてみよう"という内容で、それまで受けていた座学やテストのための勉強とは全く違う授業にとても衝撃を受けました。その授業の中で当時自分が就活をする中で感じていた悩みを、アイディアを形にして解決してみようと思いました。

当時私が就活に対して感じていたのは、「"就活"がどこか表面的で、企業やそこで働いている方と深く分かり合えないこと」、そしてそれによって「自分がその企業で働いているイメージがもてないこと」でした。これは、会社説明会やインターンシップに何度参加しても超えられない壁であるように感じました。はじめは自分だけが感じている違和感なのかもしれないと思っていましたが、就活をしていく中で、私と同じような悩みを抱えている学生にたくさん出会い、とても深刻な問題であることに気づきました。

授業では「就活プロジェクト」としてチームでアイディアを形にしていきました。当時は私自身がまさに就活の当事者だったということもあり、当事者なりの新しい発想でアイディアをどんどん膨らませていくことにとてもワクワクしました。何よりもアイディアを形にするという、そのプロセス自体が本当に楽しくて、プロジェクトを進めていくうちにどんどんのめり込んでいきました。次第に、メンバーの中で「授業だけでなく、もっと集まってやってみない?」「ビジコンにチャレンジしてみない?」という話が出てきました。そこから有志のメンバーによる、授業の単位に関係のない自主的なゼミ「イノベーションチームdot」が立ち上がりました。

ゼミではビジコン出場に向けて引き続き就活プロジェクトに取り組んでいました。私はそれまであまり熱中するタイプではありませんでしたが、このプロジェクトは違いました。チームでプロジェクトを進めていく難しさに悩むことがあり、うまくできなくて病むこともありました(笑)でも、私の中で絶対に諦めたくない!という思いが強くありました。

ビジコンの結果は準決勝敗退で、形にできなかったことに本当に悔しい思いをしました。翌日の決勝は見にいかずに同じチームのメンバーとパンケーキを食べながらやけくそになっていたのを覚えています(笑)

大切な仲間と学び続けるための起業

大学卒業後を考えたときに内定していた企業に入社するか、イノベーションチームdotというコミュニティを会社化させるかの二つの選択肢がありました。企業に入ることも考えましたが、自分の人生を大きく変えた斎藤先生からまだまだ学びたい、イノベーションチームdotのみんなと学び続けたい、と言う思いが強くありました。その思いから起業という道を選びました。ここまで熱中できるものに今まで出会ったことがなかった私にとってイノベーションチームdotは就職するにはもったいないと思うほどでした。それと、私はあまり理論的に考えるタイプではないので、そのときの「今なんだ!」という直感で選んだというのもあります。もともと慎重な性格で飛び込むタイプではなかった自分が、そんな選択をしたのも斎藤先生やdotのメンバーと出会えたからだと思います。

draw out our talent

卒業後の進路を考える際の決め手の一つとなったのが、「dotの方が自分が成長できそう」と感じたことです。私は新しいことをするのが好きで、当時も今もここ(dot)にいると常に新しいことに向き合っています。そしてそれが自分の成長につながっているように感じます。dotのメンバーとも、危機に直面したときこそ「学びだね」と普段から話しています。成長や幸せの定義はさまざまですが、私は自分の能力が発揮される場所を見つけられると成長や幸せを感じられるのかなと思います。実はdotの由来はdraw out our talent(タレントを引き出す)からで、一人ひとりの個性や能力を引き出すというのを大切にしています。どこか表面的で、自分を素直に表現できなかったり、企業やそこで働いている方と深く分かり合えなかった就活での違和感が今のdotのコミュニティを作る上で大切にしていることです。学びの場としてのdotを通して、学生一人ひとりの個性や能力を引き出すコミュニテイづくりを心掛けています。

ゼミ生へ

DeruQuiに参加しているゼミ生、メンターの方たちはみんな個性的でキラキラしていて、そんな人たちがお互いに学びあい、刺激しあえるのはとても素敵なことですね。私自身もゼミ生の皆さんから刺激をもらいたいですし、「一人ひとりの個性や能力を引き出す」dotの代表として、きっかけを与えられたらと思います。また私にとっての斎藤先生がそうであったように、良い出会いはとても貴重なものなので、ゼミを良い出会いの場にしてもらいたいですね。dotとDeruQuiは共通する部分が多く、お互いに刺激しあって、こういった学びや出会いの場をより広げていき、個性が引き出されキラキラしている学生がもっともっと増えてくれたらと思います。

編集後記

メンター紹介のインタビューでありながら、一個人として同じZ世代の起業家の価値観を聞いてみたいと思って臨んだ今回のインタビュー。"起業"というと過去の経験からの野望や大きなVISIONを抱いている人がするものというイメージがありましたが、「起業しようと思ってしようとしたわけではなくて、斎藤先生とdotのメンバーと学び続けたい」という言葉を聞いて、こんな選択肢もあるのか!とまた一つ自分の中で世界が広がるお話でした。ただその一方で、ご自身が就活のときに感じた"違和感"を会社のVALUEやコミュニティ運営に反映し、就活で感じた"違和感"を社会課題として、事業やコミュニティ運営を通して社会に価値を提供し、Z世代の価値観を伝えているところに起業家としての一面を感じました。(山田 雅)