足立

自ら行動し共に未来を創る

【東京工業大学 修士2年】足立さんはYouTubeでの動画発信をはじめ、大学院入試専門塾の立ち上げなど幅広く活動している。これらの活動は仲間と続けており、足立さん自身も誰かの活動に協力したいと話す。足立さんが仲間と活動をすることを大切にする理由は何なのか探っていく。(2022.03)

 <活動内容>

大学院進学を機に変化する環境

高専から東工大の大学院に進学するために、上京してきました。その年はコロナの影響で研究や授業がほとんどリモートで行われていました。なので、大学院に入ったときは、研究もできず、友達もできそうにない状態でした。研究ができないときは大学院生も忙しいわけではないので「もっと別のことができるのではないか」「自分からアプローチしていかないと友達もできない」と思い、学校で開催されている講演会を聞いたり、ビジコンに参加したりするようになりました。

DeruQuiにも、一橋大の宮川さんから紹介してもらい参加しました。東工大と一橋大が共同で行うグループワークをきっかけに、Zoomで個人的に色々なお話をした際に紹介してもらったんです。DeruQuiのゼミには、普段自分が関わらない人(=自分と関係ない人)がたくさんいるので、何も気にせず話すことができます。ゼミの、何を言っても大丈夫な雰囲気や気楽に参加できるという点が良いですね。

行動したことで増えた出会い

とにかく行動に移すことを大事にしています。行動することは挑戦することでもあり、挑戦を手間だと思う、やりたくないと思うのは、全人類にあてはまることだと思います。そこで、自分が「行動したくない」と思っていることを自覚したうえで、逆に行動することを意識しています。「こういうのあるよ」とイベント案内がきたら、都合が合う限り参加するようにしています。普通はイベントに参加することが挑戦になると思うのですが、全部参加することにしておけば、今度は断ることが挑戦になる。そうすることで自然とイベントに参加するようになると思うからです。

行動したことで、ビジコンにも参加するようになり「起業したいな」と考えるようになりました。中学の時は就職すると思っていましたが、実際に働くのはとても大変なことだと思っています。毎日決まった時間に起きて、決められた時間の間仕事をするというのは逆にすごいことだと思います。自分はできるだけ働きたくない、やりたいと思った時に仕事をしたいと考えているので、最近は就職というのは考えていないですね。

将来的には、自分の専門の化学関係での起業を考えています。しかし、化学での起業は工場の設置や費用面でも時間がかかるので、まずは、大学院入試の専門塾といった比較的ライトな方面での起業をしていきたいと考えています。

大学院進学から科学を盛り上げる

高専から化学を学んでいますが、科学で世界に良いことがあると学ぶ一方で、マイクロプラスチックの問題、原子力の問題など、悪いことについても同時に学ぶんですね。そういった良いことも悪いことも学ぶにつれ、今後研究をしていく身として屈辱に感じることがあり、それを覆していけないのか、と思っています。

大学院入試専門塾も、日本の科学力を向上させる必要があると思い、始めました。今の自分ができることを直結させて考えると、自分が外部院進の部分の知識を活かして大学院の部分から盛り上げていきたいなと思っています。

大学院に進学する人は理系の人が多く、また東大から東大の院に行くように同じ大学の院に進学する人よりも、別の大学院に進学する人は勉強する量が多いので、そのような人たちを対象にしています。

常識を疑い新しい良い未来を創りたい

DeruQuiに参加して考えた「ルールに囚われない世界にする」というビジョンは、学生時代に自分が体験したことがきっかけにあります。

小中学校では、「授業をしっかり受けないといけない雰囲気」「指導されたことをすることが正しい」というようなルールのようなものに囚われがちだと思います。中学校の数学で進むスピードが遅いと感じ、授業中に参考書や宿題を進めていたら、先生に「なぜ別のことしているんだ」と怒られたこともありました。中学生に勉強を教えることもあるのですが、中学校とかでは「先生が絶対」みたいな風潮を感じることがあります。このような常識を疑うことで、勉強できる子は進んで勉強できるような、新しい考え方やルールの改善につながると考えています。

また高専の文化祭で、文化部の展示が学校の端にあったので、文化部に全然焦点が当たらないと感じることがありました。そこで、文化部の出展を学校の中心に持ってきて盛り上げようと、先生に許可を得た後、文化祭を仕切っている学生会に文化部の展示の移動を相談したら「ルールだからできない」と言われたんですよ。そのような体験を実際にして、既存のルールに囚われすぎているのではないかと感じました。

ルールがあって、その中で満足してしまうのではなく、ルールに囚われずに自分から行動することで、改善できる部分をさらに良くできればと思っています。

仲間と支え合いながら活動を続ける

YouTubeは自分と、編集する人の2人で活動しています。1人でやると、絶対に続かずに止まってしまうと思っています。自分自身もそんなに続けられる方ではないので。自分が動画を撮影できていないときは、編集担当から動画撮影しているかと言われ、逆に編集が遅いなと感じたら、編集担当に動画たまっているよと声をかけるなど、一緒にやっていけます。ビジコンの運営団体では、手伝ってくれる人がおらず、活動が停滞しているので、1人だけでは難しいということにも気づけました。これまでの挑戦から、何かを達成するためには、継続して取り組める仲間を見つけることが必要だと感じています。また、そういった仲間を見つけるために、自分の想いに共感してもらえるような伝え方をすることが大事だと気づきました。なので普段から、周囲の人がどうやったら一緒にやってくれるのか、自分の目指すところが相手に伝わるかどうかを意識しています。

DeruQuiでは、MVV*を考える機会があります。MVVを明確にすることで、自分が目指しているところを再認識でき、それに合った方向に進めるようになります。今は、中学生向けのオンライン自習室を開きたいと考えていて、一緒にやってくれる人を探しています。また、他の人の「こんなことやりたい」にも協力したいと思っています。是非この記事を読んでくださった皆さんに興味を持ってもらえたら、気軽にTwitterにDMしてほしいです。

*1 Mission・Vision・Value の略

編集後記

足立さんのこれまでの活動や、ビジョンの背景にある経験を聞くことができ、一つ一つの活動に対する熱意や想いの深さを感じました。また、科学の良い部分・悪い部分の両方を見つめ自分ごととして考え、仲間と共に活動を続ける足立さんを自分も応援したいと思いました。(山浦稜太)