秋元 結羽

成長のきっかけは自分で活かす

【富山大学経済学部経営法学科2年】様々なチャンスを成長のきっかけにできるのは、「チャンスを活かすのは自分次第」と知っているから。チャンスがめぐってくる環境に身を置き続けるだけでなく、めぐってきたチャンスには積極的に飛び込み、つらさも乗り越えて自分を成長させている。「誰もがきっかけを与えられる社会」を目指す秋元さん自身は、どんなきっかけに出会ってきたのか。成長の変遷を追った。(2020.10)

成長のために動き続ける

私はこの一年、「面白そう!」と思ったことに飛び込み続け、様々なことに挑戦してきました。今は、ベンチャー企業「Labore」のインターン活動、演劇、小松サマースクールの運営活動を行っており、スキルを身に着けるために動画編集にも参加しています。さらに最近は短期のビジコンにリーダーとして挑んでいます。この1年を振り返ると、与えられた環境でいかに自分を成長させるかを考えるようになりました。どうして良いかわからずにとりあえず環境に期待して「なんでも頑張ります!」と言っていた頃と比べて、大人になったな、と思います。

行動力の源泉になっているのは、自分に足りないものを獲得したい、という思いです。演劇で変身願望をかなえる面白さと近いかもしれません。私は自分の力不足を実感することが多く、常にハングリー精神があるんです。最近は人と接する機会が増えたこともあり、自分はまだまだだ、と思う機会は尽きません。ただそれは決して不快なことではなく、常に動き続けられることが嬉しいと感じています。私は一番になりたいとか、優位に立ちたいのではなく、常に上を目指して、人間としての力を上げるために行動し続けないといけないと思っています。これからもずっとチャンスをつくるためにバッターボックスに立ち続けるつもりです。

一方で様々なことに取り組んでいるため、最近は時間は有限であることを実感するようになりました。それぞれに集中してフルコミットできるよう、自分が獲得したいスキルと相談しながら挑戦する活動を選択しています。

評価に「学生なのに」はいらない

Laboreのインターンには、立ち上げ活動に参加したしたので0期として所属していますが、同期はみな自然消滅して行く中、私は入ったからには爪痕を残したいと思って活動を続けていました。Laboreは、取り組みたいチャンスにたくさん出会える場所です。結局同期がいなくなってしまって最年長なので、リーダーとしての活動に積極的に挑戦していきたいと思っています。

活動をする中で、難しいと感じることは様々ありますが、私はすぐ発信するようにしています。何か得られたらラッキー、という気持ちで。その分、注意や耳の痛いアドバイスもたくさんいただき、落ち込むこともたくさんあります。言い返したくなる時もありますが、言ってくださることがどんなに大事なことかも感じており、受け入れて糧にしています。大学生の失敗なんてどうでも良いはずなのに、本当にありがたいです。

課外活動に取り組んでいると、たまに「学生なのに偉いね」と言われるのですが、わたしはその言葉に違和感があるんです。学生であることに価値はあるかも知れないけれど、ただいるだけでは意味がないから、「自分がやったこと」がしっかり評価されるように取り組んでいます。

人を巻き込んでクラファン達成

様々な活動の中で、今一番印象に残っているのはインターン活動の中で挑戦し、実績を残すことが出来たクラウドファンディング(クラファン)です。苦労したことは、支援者を増やすこととリーダーとしてのチームを率いることでした。学生の自分は、支援者となるターゲット層に知り合いがいない上、インターン先の「Labore」の名前を出さずに挑戦することにしていたので、活動への信頼がない状態から、いかに自分たちのことを知ってもらえるか、試行錯誤を繰り返しました。同時に、メンバーともちゃんと向き合って、どのようにしたら動いてくれるのかを考えさせられました。この2点は重なり合う部分があり、どちらも「なぜやるのか」をしっかり伝えることが大事です。私は、メンバー個別に面談をしてそれぞれの本音や今の現状を聞くようにしました。私がリーダーをしたクラファンのチームは、「クレバー」なチームだったと思います。私が考えていなかったリスクマネジメントをしっかりやってくれて仕事も早くて。リーダーとして「やりたいこと」を描きながら、実際に進める時は一人ひとりと向き合って、最後尾から背中を支える役割も好きだな、と感じています。

社会人の方の紹介により、助けを得ながら様々な人を巻き込むことが出来ましたが、その分お金が絡む現実に責任を感じました。忙しくてしんどくて泣くことがあるんだ、と我ながら衝撃を受けながら、巻き込んだ以上は責任をもって、必ず支援者の皆さんに結果でお返ししたいという気持ちで取り組みました。そして、お金と関りながら仕事をしている社会人は大変だな、と感じることができました。

同時期に参加したDeruQuiのゼミテーマが「チーム」や「リーダーシップ」で、クラファンの活動と照らし合わせて考えを深めていました。特に、「フォロワーシップ」について知ったことは、ビジョンをメンバーと共有する大切さへの気付きになり、クラファンのビジョンを考えて言語化するきっかけにもなりました。DeruQuiのゼミで重視されているこの「言語化」ですが、いい資質を持っている人がそれを顕在化させられるようになると、鬼に金棒ですよね。思いや考えを発信し共有することで、新たな個性や資質を発見するきっかけになっています。

挑戦の場は「無いならつくる」

そんな気持ちで今度は「SketchLab」というオープンイノベーション拠点で、学生と社会人と留学生とが交流出来る英会話スクールを計画しています。学内にも英会話サークルはありますが、私が考えている英会話サークルでは、ディベートも出来る場、という新しい価値を考えています。学内のサークルではできていないことですが、それはおそらく指導者がいないからだと思います。地域の人が集まるSketchLabであれば、その障壁も超えられるかもしれないと思い、取り組んでいます。

学生と社会人が交流することで、社会人は大胆な意見を持てる学生に触発され、一方で学生は責任を持って現実的に考えられる社会人からアドバイスを得ることができます。また、文化の違う海外の人とも話して、自然と違いに接する場にすることで、無意識に作っている障壁を取り除き、考えの選択肢を広げていけるようにしたいと思います。英語を学びながら、お互いに自分の価値を高めていける場を創りたいです。

あらゆる人にきっかけが与えられる社会を

クラファンのビジョン「新しい挑戦や努力を応援する」の背景には、頑張ることを諦めていた人が「頑張ろう」と思えるきっかけを創れたら素敵だなという思いがありました。私は、「あらゆる人にきっかけが与えられる社会」を実現したいと思っています。現状は、情報格差により、チャンスの有無に差が出てしまっていますが、変わるきっかけ・成長するきっかけを社会がもっと与えられるくらいの余裕を持てたらいいな、と思います。

実は、PCのスペックが不足していて動画編集の活動ができなかった時、PCをくださった方がいらっしゃるんです。今はお金をかけてもらっているけれど、将来は、自分自身が誰かのきっかけを与えられる人になるために、出来れば経済的余裕を持ちたいと思っています。好きなことをしながら、社会に還元できたらいいな、と。

DeruQuiに参加して、自分が本質を捉えられているか、自分のやりたいことは独りよがりではないかを考えるようになりました。自分の思いを発表したゼミで、メンターの下山田さんから「チャンスが少ない環境にある人は、そのことに困っているとは限らない、だから接する人の幅を広げて考えてみたら意味のあることがさらに見えてくるのでは」と言われた時に、自分自身の視野の狭さに気付いて目から鱗が落ちました。物事を幅広く捉えながら、あらゆる事象の本質を追究することを大事にしたいと思っています。なにかしら解決したい問題があるとき、問題の表面だけでなく、根本を考えて解決出来る人、そのスキルを人生でもビジネスでも活かしていける人になりたいです。

編集後記

取り組んでいる活動一つひとつに、意味があり、忙しくてもそれぞれから学びを得て充実していました。関わっている人もたくさんいるのだろうと思いますが、明るい雰囲気と全力投球を続けるタフさを兼ね備えた秋元さんは、多くの人に愛され、応援されているのだろうと思います。周囲からの助言を丁寧に受け止めながら成長し、責任感を持ってやり遂げる様子が印象的で、これからの挑戦にも頼もしさを感じました。(岩崎咲耶)