大窪 春己

幸せを広めるインフルエンサー

【富山大学経済学部1年】面白そうなことは何でも無我夢中で。現在10近くの団体、プログラムを主導して人とのつながりを広げながら、活動を繰り広げている。誰かに続きを託すのではなく、自力で完結させ社会に影響を与えるスキルを身につけたいと、経済学部に入学したという。着実に活動を展開しているように見える一方、日々夢を模索中で、将来どうすべきか不安は絶えないという。そんな大窪さんは一体何を考えて日々邁進しているのだろうか。(2021.04)

社会と関わり、無我夢中で活動

高校生の時から5つの部活動を兼部し、その活動を通じて社会と関わる機会が多くありました。学童保育に英語を教えに行ったり、国際会議に出てみたり。活動の分野は様々で、地元高岡の伝統工芸を広める活動や、シェアハウスを作ることにも取り組んでいます。

経営者ともつながりながら様々な活動をしてこれたのは、高校入学時からお世話になっている恩師の影響が大きいかもしれません。入学説明会で「僕は理科部の顧問です」と話されていたときから魅力を感じ、直感的に「ついていきたい!」と思いました。アクティブだった僕が「こんなことをやりたい!」と無茶を言っても受け入れてくれ、進路の相談にも深夜まで付き合ってくれて。今でもお付き合いがあって、高校生と活動しようとするときの架け橋になってくれています。

その方が、二人の経営者にもつなげてくれました。先に挙げた学童保育の経営者と、もう一人は学生起業家。この二人にもとてもお世話になりましたし、お二人の紹介でさらに活動が広がりました。学童保育の経営者は、高校生の僕と同じ目線で話してくれました。他の方と違って門前払いせず、「君の意見を聞きたい」と言ってくれて、自分の意見を言えるきっかけになりました。学生起業家には、カバン持ちという立ち位置で面倒を見ていただきました。当時起業に興味のあった僕に、「起業家」の世界をリアルに見せてくれながら、マナー、立ち居振る舞いといった「起業家としての形」を教えてくれました。

キャリア教育を変えたい

現在の活動は、高校生と一緒に活動するものが多いです。富山の美しい景色の場所に高校生の活動拠点としての海の家設立を計画していたり、長野県の学生団体と共同でプライベートの北陸修学旅行を企画したり。本当は中学生と一緒にやりたいのですが、まだ実績がないので高校生と活動をしています。というのも、中高生向けのキャリア教育に興味があって、活動を通して中高生へ支援がしたいんです。僕は高校・大学への進学で人生が変わると考えています。だから、進路や人生が確定する前に、自分の進路を考える機会を持ってほしい。「進路選択真っ只中の人に、世界を見る機会を」と考えています。

そのための活動として立ち上げたのが「学生団体UN!light」。地盤はまだ作っている途中ですが、キャリアコンサルになりたい人を支援する団体。夢や目標を持つことの大切さを伝えたいと考えています。新規事業立案プログラムで意気投合した人など、面白い考えを持った20名ほどのチームです。「こんなことやろうとしているんだけど力貸してくれないか」と言って集めました。海外の方とも繋がりがあるので、国籍も多様です(オランダ・台湾・中国・アメリカ)。多様な価値観の元、色々な考えにもみにもまれて考えられるようにしたいという想いがあります。

アメリカへの留学経験もありますが、教育体制の違いからか、同じ年齢なのにとてもしっかりしていたのが印象的です。例えば日本は「お知らせ」が配られるけれど、アメリカでは自分でメモしないといけない。授業も選択制。中高生の内から自分で管理しているんですね。だから現実的に自己分析する機会も持てていて、自分がどう生きたいかを考えているから意見もしっかりしているのかな、と思います。

インフルエンサーとして変革

僕自身、今の日本の教育で嫌なことは多くて、まず学力で判断されるのが嫌ですし、授業が一方通行なのも違和感があります。文理選択のタイミングで文系選んだことで、興味のあった医学の道が完全に閉ざされてしまったのも嫌でした。進路なんて変わるかもしれないのに、分岐しているのは良くないですよね。僕はそんな教育を、自分の人生で完結する形で変革したいと思っています。誰かに続きを託す、という形ではなく、自分自身がZOZOTOWNの前澤さんやホリエモンみたいな影響力あるインフルエンサーになり、第三者的立ち位置で提言したいです。ツールの一つとして起業を考えていて、教育に興味はあるものの、教育学部ではなくて経済学部に入学しました。

今の様々な活動が今後どう繋がっていくかは分かりません。もしかしたら、同年代の人と楽しく活動したいだけなのかもしれません。しかし自分のやってきたことは自分の人生で完結させたいというポリシーがあるので、仕上げるまでは今やっていることを続けるつもりです。今は、いろんな方々と協力できることが楽しい。自分一人では何もできないから、心の通じ合った仲間、横の繋がりが欲しいと思っていて、人脈・縁をとても大事にしています。

人の夢を叶える

僕が人生でやりたいことは主に二つあって、一つは教育を変えること。もう一つは大切な人を幸せにすることです。大切な人、というのは今の家族であったり友達であったり、僕にとってのキーパーソン。人の夢を叶えるために役に立ちたいです。「DJをやりたい」と言っていた親しい先輩がステージに立てる場所を作りたくて、無茶を承知で「卒業おめでとう集会」を提案したことがあります。自分のためであれば、「いいや」と思た時点で辞めてしまえるけれど、人のためだからやってこれたことは多くあります。

将来世帯を持った時も、結婚相手をとても幸せにしたいし、自分の子供が興味の向く方向に挑戦し、色々な意味で学び続けられることを大事にしたいと思っています。

やりたいことが似ている人をつなげる役割を担うことも多く、自分ができるだけ多くの人と出会うことも大事にしています。一人ひとりの夢、目標・目的、取り組んでいることとその動機、どんな自分を描きたいか、という将来的な話と、そこから派生した雑談で相手を理解しています。

僕は人が好きなので、多様性は尊重すべきだと思っています。チームで大事にしていることは優劣をつけないこと。トップダウンを失くしたいと思っているので、おかげで決定権が無くて大変なことも多いです。

夢・目標を探りたい

これまで取り組んできたことはボランティアのようなものばかりでしたが、事業を起こすなどもっとできるのではないかと考えています。家族から資金援助を受けなくても自立できるところに早々に到達したいですし、そうでなければ生ぬるさを感じてしまいます。

また、能力の100%を使っていない、思考をフル回転できていないとも感じます。それでは余力があるままなので成長できない。もっともっと社会に揉まれて、常に限界レベルで挑戦し、足りない部分を必死に補充し、少しずつ一人の社会人と成長していきたいですね。


色々語っていますが、実は僕は本当に悩んでいる人間なんです。進路に関する不安は常にあって、三日に一回はどうしようもない不安に襲われます。もし、「夢や目標」が決まっていれば、そこから逆算して不安も解消されると思います。将来が分からないからこそ、色々な活動を無我夢中でやっているのかもしれません。

僕と同じように将来を描けていない人はたくさんいるのではないでしょうか。みんながみんな不安を抱えているわけではないのは、「将来が分からない」ことがどれだけ怖いと感じるかに、個人差があるからだと思っています。その中で、僕は不安を感じている人間。だからこそ、夢・目標に敏感になっていて、多くの人が夢・目標を持って不安を解消してほしいという想いが強いです。そして自分自身は、それが実現できるように活動すべきだと思っています。

編集後記

活動していること、考えていることが本当に多岐にわたっており、記事の流れの中に想いをまとめるのはとても大変でしたし、まとめ上げられたかどうかも分かりません。ただ、お話をしていて感じたのは、「全ての人の人生を有意義で幸せなものにしたい」という使命感。他者の想いを尊重し、実現のサポートまでしてしまうエネルギーには圧倒されました。携わっているたくさんの活動全てがワクワクするもので、壮大な考え・行動力にリアリティのある楽しさが感じられ、本気で「幸せの実現」を考える凄さを感じました。(岩崎咲耶)