竹内彩乃

やりたいことで自分を試す

Portland State University 心理学部卒・ポートランドの物流会社でインターン中 ドラマで見たアメリカの学園生活にカルチャーショックを受けてから、海外の生活に憧れを抱き続けた竹内さん。そんな海外への留学経験を持つ先輩の話を聞き「私も!」と海外での大学生活を決意したという。「面白そう」「やりたい」と思ったことには困難も厭わず飛び込んでいく、その根底にあるのは「自分を試したい」挑戦心。DeruQuiへの参加によって、社会での「やりたい」を見つけつつある今の想いを伺う。(2020.10)

自分はどう乗り越えるのか

附属高校に通っていた私は、高校3年生まで漠然と「上の大学に進学すればよい」と考えていました。そんな私が4年間の留学に行くきっかけとなったのは、「glee」というドラマと、ある先輩との縁でした。

「glee」はアメリカの高校学園ドラマで、その中で印象的なのが学生が時間割を各々カスタマイズする様子です。「アメリカの高校ってこんなに自由なんだ!」とカルチャーショックを受けたのを覚えています。その後2週間のアメリカ語学留学を経て海外への興味がますます強くなり、本格的な留学について調べ始めました。

進学は海外での入学・卒業を目的とした「正規留学」を選びました。最初の留学は「楽しいだけ」で、苦労も経験しなければ意味がないと感じていたからです。両親と相談する中で、母の知り合いに正規留学中の大学生がいることが分かり、すぐにコンタクトを取りました。

先輩が留学生活を楽しんでいる姿、自立している姿が印象的だったのですが、それ以上に「自分を試したい」という感情が湧きました。「文化の違いで友人関係に悩んだ」苦労話などを伺いながら、「自分だったらどう対応するか」を想像し、様々な苦労を乗り越える自分を見てみたいと思ったのです。単純な私はそう思ってしまったら止まらず、留学の決意を固めました。

大学に4年間通ってから、学生ビザで1年間働けることを調べていたので、少なくとも5年間はアメリカで過ごす覚悟で渡米。実際留学すると、やはり苦労はありました。例えば英語に慣れるまでは、コミュニケーションが思うようにできず、2~3か月は緊張の塊という状態でした。先生の言っていることも分からず、周りの人にも「あのアジア人何?」と指をさされて号泣したこともあります(学校全体に、アジア人自体ほとんどいなかったので)。そこで思ったことは「他人の目が気になる」ではなく、「自分が情けない」です。自分で決めた留学を全うするしかない、と乗り越えられたのは、この思いをモチベーションに出来たからでした。今は大学を卒業し、物流会社のインターンで毎日倉庫の中を走り回っています。

ショッキングな違いも、「面白い!!」

事前に様々な想像を膨らませられることと、多様性を楽しめることは私の強みです。

留学生活の中で日本とアメリカの違いを感じることは多々ありましたが、先輩の話を聞いて想像を膨らませていたおかげで、すんなりと受け入れることが出来ました。田舎の道の広さには「ここまでか!」と衝撃を受けましたが(笑)

ショッキングな場面には何度も遭遇しました。特に衝撃を受けたのは、カフェテリアでミートボールを投げ合う光景です。日本ではあり得ない光景をネガティブに捉える方も多いと思いますが、私は「楽しむポイントが全然違うんだな」と捉えています。それは、「自分と全く違うことが面白い」と考えているから。友達からは「悟っているね」と言われたりもしますが、想定できない人に会うのが面白いです。相手が何を考えているか大体想像できる日本とは違い、一人ひとり背景が違って何を考えているか全然分からないんですよね。留学に来て受け止める許容範囲がさらに増えたと思います。

予防精神衛生とVision

大学では、心理学を専攻しました。小さいころから人の考え方に興味があり、マーケティングと悩んだのですが、ビジネスメジャーとなって学ぶ機会も充実しているマーケティングより、心理学の方が学び甲斐があると思いました。元々「聞き上手」と言われ友達の相談にもよく乗っていたのですが、心理学を学んだ今考えているのが、「予防精神衛生」という考え方です。「予防精神衛生」は私の造語で、心の問題を抱えることを病気扱いせず、フィットネス感覚で気軽に心の健康を維持できる仕組みを考えたい、という想いがあります。DeruQuiでVisionの重要性を学び、時間をかけて考えた「予防精神衛生」という言葉。まだまだ生まれたてで漠然とした状態なので、考えをアウトプットし様々なフィードバックを得ながら洗練・具体化していきたいと思っています。

心理学に関連した職業としてまず思いつくのがカウンセラーです。仕事にするには大学院卒業が前提になるなど、心理学を活かして活躍しようと思うとより専門的な学びが必要であり、私自身もさらに学びたいという想いもあります。しかし今はまず、学校というコミュニティの外に一度出て、社会人として世の中を見つめてみたいと考えています。どのような選択をするか、Visionへの本気度も確かめながら考えていきたいと思っています。

「やりたいこと」のための就活

実はインターン探しと並行して、ボストンで行われた日本人留学生を対象とした日本の就活フォーラムにも参加していました。その時に就活について調べながら、「就活のための準備の出来」が結果を左右することに疑問を持ちました。例えばSPIの試験が、社会でどんな役に立つのかな?と。社会での活躍に努力のベクトルを向けて、その通過点として就活があるべきでは、と思っています。また、やり方も、一人ひとりに合わせたやり方で出来ればいいと思います。ある程度の文化を共有している日本でも、育ってきた環境や考え方は根本的に違うと思うので、個性が活きる社会にできたらと、思うんです。

就活の違和感に悩んでいる時にルームメイトの岸上さんからDeruQuiの話を聞きました。「就職がゴールではない」というコンセプトに共感してゼミに参加し始め、「予防精神衛生」というVisionもおぼろげながら見えてきました。1度目の就活はモヤモヤして終わりましたが、「自分のやりたいこと」「社会での活躍」についてしっかり考えてから臨める2度目は、充実した就活にしたいと思います。

留学を教えてくれた先輩は、1年間働いた会社を辞め、転職し、今はバスケのBリーグで活躍されています。DeruQuiのメンターの方を見ていても、自分のやりたいことやミッションが明確な方が成功していると感じていて、私もそうなりたいなと思っています。

自分をアウトプットしたい

ゼミでは考えを発信する機会が重視されていますが、ただ話すだけではなく、「考えを端的に言語化する」ことで、学びの濃い時間になっていると感じます。言語化の重要性を知り、発信したことが伝わっていなかったこともあるのでは、と思うようになりました。Visionを明確にする上でも言語化が重要になるので、洗練された言語化を目指してアウトプットを繰り返していきたいと思っています。

「出会い」を考えたゼミでは、縁をつなぐのは自分次第、縁が人生を変えていく、という考え方が新鮮で印象的でした。また、今まで進んできた道も、誰かとの出会いがきっかけになっていたことに気付きました。これから自分の考えややりたいことを上手く言葉にして伝え、発信力を上げることで、新たに出会う人たちと、縁を繋げていけるのではないかと思っています。

私は、自分史を孫に語り聞かせるという夢を持っています。孫に楽しんでもらうためにも、たくさんの挑戦や成功・失敗を繰り返して波乱万丈な自分史にしたいですね。

編集後記

「自分を試したい」という思いから感じられるご自身と将来への期待と、その期待に応えるために納得しながら前進していく様子に誠実さを感じました。前向きで明るい雰囲気や多様性を受け入れる包容力が印象的で、「友達によく相談される」というのも納得です。問題に向き合う丁寧さと、軽々と挑戦の場に飛び込んでいく大胆さを持った竹内さんの「自分史」が、今から楽しみです。 (岩崎咲耶)